途上国支援拡大が焦点 影落とす米議会混乱―IMF世銀年次総会
(VOVWORLD) -国際通貨基金(IMF)と世界銀行は9~15日、アフリカ北部モロッコのマラケシュで年次総会を開催します。
コロナ禍からの回復に遅れ、気候変動や食料不足、過剰債務などの「複合危機」に苦しむ途上国への支援拡大が焦点です。ただ、両機関の最大出資国となる米国での議会の混乱により、不可欠な資金拠出が進まない恐れが影を落としています。
アフリカ大陸でのIMF・世銀総会開催は50年ぶり。期間中には20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議も行われます。
複合危機の渦中にあるのが、低所得国が集中するアフリカです。9月の国連総会で、アフリカ開発銀行のアデシナ総裁は「アフリカは2030年まで1.2兆ドル(約180兆円)の資金不足に直面している」と訴えました。低所得国の多くが過剰債務を抱え、余力がない中、IMF、世銀やアフリカ開銀など国際開発金融機関(MDBs)の融資能力強化を求める声が強まっています。
世銀改革やIMFの出資割当額(クオータ)引き上げを巡る議論はこれまで、イエレン財務長官ら米国勢が主導してきました。しかし、マッカーシー下院議長が解任されるなど、議会の混乱や与野党の対立で予算審議の見通しが立たない状況です。議会の機能不全で米国が資金拠出を実現できないとの見方から「米国の指導力に疑問符が付いている」(専門家)といいます。
ゲオルギエワIMF専務理事は5日、コートジボワールのアビジャンで演説し、年次総会を「(約190の)加盟国の人々にとって有意義な会合とする」と決意表明しました。今年6月に就任したばかりのバンガ世銀総裁も調整能力が問われることになりそうです。(時事)